愛知県の金融機関と地元企業

2019-11-18~19

愛知中小企業家同友会から講演依頼を頂いた。せっかく愛知県にいくなら、豊橋に新工場をOPENした有限会社エニシングに伺おうと、西村社長に連絡したところ、話が素敵な方向に大きくなり、様々な方を巻き込んだツアーになった。

まずは、新横浜駅から新幹線で豊橋に向かう。のぞみの一部の列車は豊橋が新横浜の次の駅。時間をあわせさえすればとても近い。これにはびっくり。

豊橋駅につき、まずは恒例の事前まちあるき。市役所を訪問。展望台にのぼり地域を俯瞰。37万人の街。

常設の資料展示「とよはし物語館」を見る。戦争で焼けてそこから再生。再生には市電が大きな役割を果たしてきた。

百貨店も次々にオープンしていい時代もあったようだが、2020年3月には、ほの国百貨店も経営不振のため幕を下ろす。次の時代はどんな風になるのだろう。

豊橋駅前には地域金融機関と信用金庫の支店が軒を連ねていた。

「名古屋金利」という言葉はよく聞くが「豊橋金利」というのもあるらしい。

低金利競争が行わているとのこと。そうなると、金融機関にとって、付加価値をつけた課題解決コストを吸収することは難しそうだ。

愛知県内に本店のある金融機関の預金と貸出金のランキングを調べてみると、第二地方銀行と信用金庫がほぼ同規模で競合しているのがわかる。

順位

金融機関名

店舗数

預金(億円)

貸出金(億円)

1

名古屋銀行

113

33,503

24,582

2

岡崎信用金庫

99

30,432

15,842

3

愛知銀行

106

27,548

18,093

4

瀬戸信用金庫

73

20,828

9,600

5

碧海信用金庫

77

20,435

10,420

6

中京銀行

87

17,730

13,044

7

豊田信用金庫

40

14,801

7,271

8

蒲郡信用金庫

47

12,471

5,860

9

西尾信用金庫

48

11,681

5,523

10

いちい信用金庫

49

10,226

4,080

 

ヤマサちくわの本店にも行った。魅力ある個店が徒歩圏内に点在している。組み合わせることで付加価値を生み出すことができそうだ。

花園商店街も散策。

集合場所である豊橋駅に戻り、宮崎大学地域学部の吉田雅彦氏と原山織物工場の会津木綿の伝統を受け継ぐ株式会社はらっぱの原山修一専務とと合流して、豊橋技術科学大学へ。

技術科学大学は、国立大学の一つの形態。高専の卒業生(大学3年と同じ)の受け入れ先として、長岡技術科学大学とこちらの2つが設立された。私は前職で東京高専と連携協定を締結し、地域の活性化のための共創を行っていたので名前はよく聞いていた。

大西隆学長と柴富一孝准教授との懇談はとても有意義だった。学長が多様な経歴の我々一人一人に声をかけながら質問された。短時間でも、卓越したコミュニケーション能力があれば、たくさんの事業や研究を理解したり判断したりできるのだと感じた。とても勉強になった。

昼食は道の駅とよはし。2019年7月に開業したできたてほやほやの道の駅。運営は株式会社道の駅とよはし。副駅長の吉開仁紀氏は、豊橋市役所からの出向。霞ヶ関にいた経験もあるので、産官を知りつくし事業を促進。すでに来場者が100万人を突破し、新しい事業や工夫に余念がない。公務員の強みを存分に生かしながら地域を活性化している。多摩地域のとんがった公務員にもぜひ紹介したいと思った。

豊橋カレーうどんを食す。五か条が決まっていて、①自家製麺を使用する。②器の底から、ごはん、とろろ、カレーうどんの順に入れる。③豊橋産ウズラ卵を使用する。④福神漬けまたは壷付け・紅しょうがを添える。⑤愛情を持って作る。

和食麺処つるあん道の駅店は、豊橋発祥の手筒花火をイメージして作られているボリューム満点の優れもの。

次におじゃましたのが、二川宿に新しくOPENした「商家駒屋」。市役所が3年かけて改修し、それを観光や地域の交流拠点として活用するために、地元NPOに委託している。

定休日のところを特別に開けて頂いた。

NPO二川宿の理事長前田弘孝氏にご案内いただく。行政との関わり、近隣住民との関わり、NPO職員との関わりを楽しく聞けた。もと地域金融機関の方なのでつなぐ力にたけているのだと感じた。ひとつずつ積み上げている話には重みがある。

そして、当所の目的地であるエニシング前掛けファクトリー。新幹線の線路と川に挟まれた場所。

ここで東京のベンチャーが伝統の織物を紡ぎ、繋いでいる。

昔ながらの機械が糸を紡いでいくのは、懐かしくもあり、モノづくりの原点を感じる。

豊橋商工信用組合の中村勝彦氏、豊橋商工会議所の会頭の神野吾郎氏にも参加いただき、ホテルで懇親会。経営者、金融機関、大学関係などなど異業種交流に花が咲く。

宿泊は アークリッシュ豊橋。フロントが最上階にある、駅前の豪華なホテル。このホテルのこだわりと仕組みについてはどこかで伺ってみたい。それほど様々な工夫がされていた。

次の日、豊橋から名鉄で名古屋へ。

名古屋駅はリニア新幹線の工事を行っていた。

駅前も人が多く盛り上がりを感じる。リニアの恩恵を一番受けるのは、途中駅ではなく名古屋だと感じる。

朝から愛知銀行を訪問。

名古屋駅前支店で自治体向けセミナーを行うというので見学させていただいた。

愛知県内の連携協定を締結している自治体の方々をお呼びしての勉強会。会議室の後方には、取引先企業の防災用品を展示していた。私も企画したことがあるが、情報として複数の地元企業の商品を行政に紹介することは有効だ。

   

昼過ぎに、名古屋国際会議場に向かう。会場には地元の経営者がたくさん来ていた。

愛知中小企業家同友会第19回あいち経営フォーラム「同友会らしい先見企業づくり」

基調講演は㈱ヴィ・クルーの佐藤全社長。同友会でビジョンを作り、発信し、実践してきた。バスのメンテナンス会社から、これからの時代を考えてパラダイムシフト。活力みなぎる話が聞けた。

私は第7分科会で「地域と金融の未来共創」をテーマに報告を行った。

会場にはたくさんの方々に参加して頂いた。「金融機関との付き合い方、経営者としてどうあるべきかを学びました」「信金の地域との関わり、課題解決に対しての動きなどを学べた」「信金の見方が変わりました」などアンケートにお答え頂いた。

報告の途中で課題に答えて頂いた。

Q、お付き合いしている金融機関とその関係を書いてください。結果は下記のとおり。(n=36)

順位  金融機関名 本店所在地 記入数
1 三菱UFJ銀行 メガバンク 22
2 愛知銀行 愛知県 11
3 岡崎信用金庫 愛知県 9
4 名古屋銀行 愛知県 9
5 大垣共立銀行 岐阜県 9
6 中京銀行 愛知県 7
7 碧海信用金庫 愛知県 7
8 名古屋銀行 愛知県 7
9 十六銀行 岐阜県 6
10 尾西信用金庫 愛知県 5
11 岐阜信用金庫 岐阜県 5

旧東海銀行の地盤だから三菱UFJ銀行は口座はあるようだが、関係性で見ると、メインバンクは第二地銀と信用金庫というところが多かった。また、岐阜県から銀行が越境してきているのがわかった。

1泊2日の学び多きツアーだった。今後に活かしていきたい。

★「つながりシート」を出していただいた方からの返信の一部を共有。

  • 先生のおっしゃる通り経営と現場が機能することが大切ですね。普段中小企業支援の現場に身を置いていると、金融機関、担当者によって差があることを痛切に感じます。ただ、少しずつですが変化を感じることもあります。最初は形式からでも、真意を理解してもらうことで担当者の見方が変わることもありました。地道な積み重ねを繰り返すことで周りに伝わることもあると考えます。取引先企業が成長することが金融機関の発展に不可欠であるということを経営と現場が共有できることが両方が機能することにつながると私は考えます。
  • 信用金庫の「お客様の課題解決」という事業領域が反映されている一連の取り組みについてのお話を聴くことができ、自社に置き換えてみると具体的にどのような商品・サービスを提供することができるのだろうか?ということを考えるよいヒントとなりました。コモディティ化により一見すると他社との差別化が難しいように感じる中で、まず自社が最初に取り組んだのが、経営指針書の作成でした。自社が今日まで歩んできた社会へのお役立ちの歴史と向き合うことで、自社の特徴・強みを再発見することができ、現在の外部環境の中で成長・発展していくための方針・計画を立てました。
  • 地元の活性化のために、信用金庫が果たす役割は大きいので、地元の尾西信用金庫やいちい信用金庫の活動に関心をもっていきたいと思っています。
  • あれから9月の決算書を持って地域金融機関の支店長のところにお話に行きました。自分たちの事を思った以上に理解してたのとすごく協力的だったので今までちょっとバカにしていた自分が恥ずかしくなりました。あらためて、金融機関のみならず目先の損得にとらわれない付き合い方を勉強させていただきありがとうございました。