羽村銀行

2022/7/16

多摩エリアの地域金融機関の足跡をたどっている。

役目を終え現存しない銀行の一つに、羽村銀行がある。どのような環境に立地していたのか。実際にその場所を訪ねてみることにした。

JR青梅線羽村駅南口から多摩川に向かって南下する。河岸段丘の坂道には立派な木々や石積みが連なり、歴史を感じる。5~6分ほど下ると禅林寺が現れる。ここには小説『大菩薩峠』で知られる中里介山の墓があるそうだ。

山門を出てまもなく右手に2階建てのアパートが。その敷地の片隅(写真左)に「羽村銀行跡」の掲示が立っていた。

羽村銀行は1899年羽東3丁目374番地に創立。当時は専務取締役島田六助宅の土蔵を改造した事務所だった。養蚕の発達にともない、製糸家など大口の必要性と共に生まれたもので一般農家への融資はわずかだった。1927年、青梅銀行、青梅商業銀行、多摩銀行多摩農業銀行、成木銀行、氷川銀行の7行が合併し、武陽銀行羽村支店となる。場所も禅林寺門前に新築移転、1942年には日本昼夜銀行羽村支店、翌1943年安田銀行羽村支店に変わり、1951年埼玉銀行福生支店と合併し、その後、建物は地域金融の役割を終え、取り壊されたということだ。

すぐ下を流れる玉川上水。(K)