ろうきんって知ってますか?
2020-03-03
全国労働金庫協会のヒアリングに伺った。 御茶ノ水駅を降りて数分の場所にある。
中央労働金庫の本店の隣の労働金庫会館にある。
受付を行う。段々慣れてきたが漢字が浮かばない😁
今回お相手いただいたのは、政策調査室伊藤洋副室長と大島ひろみ次長。
伊藤副室長から、コロナもあるのでといつもより机を離す配慮までしていただいた。そのうえで、第一声は「ろうきんって知らないよね」と直球の質問が投げかけられた。野球部出身の1年生は、「はい知りません」と直球は素直に打ち返す。ヒヤヒヤしながらのヒアリングがスタートした。
労働組合の説明。一人で経営者に交渉にいくのは難しい。その交渉相手として労働組合ができた。その労働組合の組合員のための金融機関なので、特別な広告の必要がない。だから一般の人は知らない場合が多い。確かに、信用金庫や信用組合も同様である。
「ろうきんとは、はたらく仲間がお互いを助け合うために資金を出し合ってつくった、協同組織の福祉金融機関。」とある。
協同組織金融機関は、株式会社と違って非営利である。この非営利が分かりづらい。簡単に言うと、儲けないのではなく、必要以上に利益を求めないこと。継続のためのお金を稼がないと行けない。生協やNPOにも近い。もうひとつ、福祉金融機関の福祉は広義の福祉。幸せによく生きるという意味。具体的には、雇用が不安定になった場合の「就職安定資金融資制度」や「訓練・生活支援資金融資制度」等で貢献していた。ろうきんを語る上では、非金融と福祉の説明が極めて重要。
昔は都道府県毎に47金庫あった。現在は合併が進み13金庫。駅前に店がない場合も多い。労働組合の近くにある。働いている人の近くにある。地方の場合などは、大手企業の事業所の近くに支店がある場合もある。富士フィルム(伊豆箱根鉄道には富士フィルム前という駅がある❣)の近くにある大雄山出張所とか、日立製作所、旭化成などの事業所の近くにもある。中央労働金庫のHPを拝見すると、タブの一番右に「会員団体専用」というところがある。この先には何があるのだろう😁。
設立の趣旨から考えても当然だが、企業への貸し出しはできない、外為ができない、信託業務もできないがそれ以外はすべてできる。また、生協とか労働組合が、建物を建てるものについては、それらが働く人達の役に立つ施設であればOK。ひとつすごいサービスがある。「ATM・CD引き出し手数料キャッシュバックサービス(中央労金)」だ。銀行・ゆうちょ銀行・コンビニなどでATMの引き出し手数料が全額キャッシュバックされるサービスだ。これには脱帽。
企業の労働組合、国家公務員や地方公務員(警察、消防、自衛隊など一部では労働組合への加入ができない)、生協もお客様。融資使途別残高割合を見ると、87.6%が住宅資金、10.2%が生活資金となり、実に約98%が個人融資。労働金庫の中央機関は、一般社団法人全国労働金庫協会(労金協会)と労働金庫連合会(労金連)がある。信金業界でいうと、一般社団法人全国信用金庫協会と信金中央金庫があるのと同じ。
業界名 | 準拠法 | 組織 | 監督機関 |
労働金庫 | 労働金庫法 | 会員の出資による協同組織の非営利法人 | 内閣総理大臣(金融庁長官)及び厚生労働大臣 |
信用組合 |
中小企業等協同組合法 協同組合による金融事業に関する法律 |
組合員の出資による協同組合の非営利法人 | 内閣総理大臣(金融庁長官) |
信用金庫 | 信用金庫法 | 会員の出資による協同組織の非営利法人 | 内閣総理大臣(金融庁長官) |
銀行 | 銀行法 | 株式会社 | 内閣総理大臣(金融庁長官) |
検査については、事業の方向性は厚生労働省が確認し、金融関連は金融庁が所管。事業融資がほぼないので、不良債権がでにくい。預貸率は、64.61%であり、最近は上昇傾向にある。銀行が住宅ローンを推進しなくなってきている影響か?。
会員は、1号会員が民間の労働組合、2号会員が生協とその連合会、3号会員が国家公務員と地方公務員等の団体、4号会員はその他労働者のための団体及び連合会とある。源泉徴収票が出ている人達が対象。出資は団体主義をとっている。利益は、出資配当金(2%)や利用配当金(1%)として、利用者である会員に還元している。労金の場合は会員イコール利用者。条件が良いから購入したいと思っても、個人は×であり、現在、増資の受付もしていない。
大きな特徴のひとつがお客様である組合員も一緒になって行う「ろうきん運動」。組合と協議して、一緒に説明会などを行い、ボーナスが出た後など財形貯蓄等の推進を推進委員一緒に職場に入って行う。これはすごい仕組みだ。
以前、全国の労働金庫を1つにするという、日本労働金庫構想があった。労働銀行という野望があった。協同組織金融機関としての意義もあり、また金融庁からも待ったがかかり、頓挫した。大手企業の労働組合からは全国転勤をするときに取引上の支障があるので希望があった。現在は、システムが統一されているので、大体ができているが、なにかあったときに地域密着があったほうがいいのかな?地域密着を活かしながら大きくなることが重要。大きくなりすぎると、融通を聞かせることができなくなる。
NPOに対して、助成プログラムを行なっている。各労金とも何らかの形で行っている。合計すると億単位になっている。これまた桁違いの仕組みだ。
採用は、労金協会と労金連と日本労信協で一体採用。20人程度採用している。また13のろうきんでもそれぞれ採用を行い、地域の人気企業になっている。ただ、合併が進んだこともあり、昔に比べて転勤が広域になった。新幹線通勤などもありえる。離職率は金融機関の中では低いが最近は少しずつ増えてきた。ろうきんは、働きやすい職場。労働組合が作ったものなので当然、制度が整っている。会員との関わりが深いので、人との関わりが好きな人には向いている。ほぼ2時間。かなり詳しく理解できた。学生もかなりの興味を持っていた。
PS https://www.rokin.or.jp/ というアドレスは近畿労金。中央労金は、https://chuo.rokin.com/ というのもチャーミングだ😁。