川崎市の企業訪問
2019-07-19
今日は学生と川崎市の企業にヒアリング調査を行った。先日、川崎市役所に伺ったときに紹介していただいた2社。
1社目は、株式会社アルファメディア。武蔵小杉から歩いてすぐのところにある地元企業。平成4年の設立当初から自社製品の開発に力を入れて取組んでいる。ハードウエアの設計・開発から、ソフトウエアの企画・設計・開発・導入支援、人材派遣、PCスクール「富士通オープンカレッジ」の運営まで、幅広い業務を提供している。お相手頂いたのは、小湊宏之社長とイノベーション推進部の戸田周氏。
こちらの会社の商品の出欠管理システム「かいけつ出席」は多摩大学もユーザー。学生がICカードをピピっとすると、出欠をとれるというシンプルな優れものもの。すでに60校に導入されている。
小湊社長は、2代目社長として世の中に貢献できる商品作りを行っている。
経営理念は「”人に優しいマルチメディアをあなたと共に創造する”企業として社会に貢献し顧客満足に努めています。」27年前に自社だけでなく他社とも連携しようというのは当時としてはかなり斬新だったはず。当時、手話の動画CDを作るために手話のボランティア団体と一緒に作ったり、最近では、かわさき振興財団の紹介で富士通の知財を活用した教育機関向けの商品開発を行っていった。
先代は、富士通オアシスの開発者だった。私もお世話になった「親指シフト」。そんな開発力があっても、アイデアや特許は会社のものになってしまうと、奮起して起業。当社の経営理念や先代の話を伺い、地域で企業経営をする醍醐味と苦労の両方を感じた。それでも、地域に貢献する、社会に貢献するというところを全うする「志」に感銘を受けた。
帰り際、9月13日に行われる、ビジックスワールドinKawasakiにもぜひ来てほしいとお誘いを受けた。この企画の実行委員長。ぜひ伺いたい。
次に伺ったのが、日本理化学工業株式会社。大山隆久社長がお相手頂けた。
今日3回目の会社見学ですと笑ってはいるが、眼差しの奥は厳しい経営者。当社は川崎と美唄に拠点を持ち、チョークの市場の70%のシェアを持つトップメーカー。85名の従業員のうち61名が知的障がい者。25名が重度の障がい者。現場を100%支えてくれている。彼らの中にリーダーを作っている。言葉にならない人もいるがリーダーがサポートしている。管理者は20名に一人いるだけ。障がい者が上手に仕事ができないのは、教え方が悪いと考える。どうやったらわかるように、できるように伝えられるのかということを何度も何度も考える。学生に向けて授業をするのも近いものがある。どうやったら伝わるのか、どうやったら将来使えるものを伝えられるのか?それを諦めずに続けること。共感できる。
「採用は、福祉の方など特別な方を募集しているんですか」と伺うと「一般企業なので特別なことはしていない」ときっぱり。別の会社で「サポートの立場で関わると障がい者が認めてくれない。同じように失敗して初めて認めてくれる」といわれたことがあった。
「お父様から引き継いだときはどんな感じでしたか」と質問すると「その頃は好きなことをやっていた。いつかは継ぐのかと思ってはいた。現場に関わって、こんなに難しいんだっていうことを感じた。彼ら(障がい者)がすごいのだなと気がついたときに、この事業を残さなくてはいけない、自分で築いていきたいと思った」と。心に熱いものを感じる。
チョークの工場を見学させてもらった。
知的障がい者の社員が作業を行っている。余計なことを考えずに、ひとつの仕事にまい進している。次々にチョークが出来上がっていく。「信号をいくつも見ながら通勤してくるんだから信号機と同じように色で伝えるといい」「複雑な検査機で検査するのではなく、スケールを作ってそこに入るかどうかで判断すればいい」「障がい者が使いやすいものはみんな使いやすい」・・・
チョークのシェアは高いけれど、全体の需要量は減ってきている。次のビジネスを考えなくてはいけない。その一つがkitpas。インストラクター制度があり、2,600人もいる。使い方のアイデアを考えてくれる外部のネットワークがある。マスコミでもたびたび取り上げられる企業だけに視察もたくさんある。どこでどんな出会いがあるかわからないのでやれるだけやると、視察を受け入れている。視察に来た人たちと会話しながら新しい企画やネットワークを模索している。もちろん、当社にも課題は山ほどある。お話を聞きながら、応援したくなる。そんな企業だった。
多摩川の河川敷を駅に向かいながら、現場にこそ答えがあると改めて感じた。地元企業のエネルギーと汗を感じることができた。