専門誌への寄稿する文章を書いている。題名は「課題解決に資する地域金融」。信金に30年勤務した後、4月から大学教員になり、他の信金や信組、地方銀行、労働金庫、農協、郵便局などをヒアリングさせていただいた。実に様々な取り組みを行っている。

先日行われた、都市農業を考えるイベントで、農林中央金庫の方と出会い、「AgVenture lab」のお話しを聞いた。早速視察をお願いし快諾頂いた。

場所は東京駅から数分の大手町ビルヂング。再開発で新しいビルだらけの中、こちらは1958年4月竣工、2018年に全面大改修を最近したらしい。その9Fにある。

受付でご挨拶をして、ご担当の古橋様にご挨拶。施設の説明をして頂いた。

AgVenture lab」は、Agriculture(農業)×Adventure(冒険)×Aggressive(積極的)からなる造語。JAグループ8団体(全国農業協同組合中央会、全国農業協同組合連合会、全国共済農業協同組合連合会、農林中央金庫、一般社団法人家の光協会、株式会社日本農業新聞、全国厚生農業協同組合連合会、株式会社農協観光)の連携で作った一般社団法人。8団体で年会費に差はある。スタッフ13名、場所、データもそれぞれの機関から。

JAグループのさまざまな事業と、技術やアイデアを持ったスタートアップ企業等を結び付け、社会課題の解決を目指す。また、イノベーションの実現を通して、JAグループ全体の意識変革、職員のマインドチェンジを行う。Fintechを専門に行っているラボとしてはFINOLABがあるので、こちらは「掛け合わせ」がキーワード。総合事業と掛け合わせを狙う。例えば、農林水産業へのドローン活用×それを融資に活用 など。

まず目を引くのはこちらの本棚。さすがJAグループといった感じ。トトロの森を彷彿させる。

キッチンと表示された場所。こちらは食関係のイベントを試食などしながら行えるとのこと。

 

セミナーや打合せができるコワーキングスペースもありがたい。

不思議な椅子。発想に詰まったら使うのかな?

卓球台兼打合せテーブル。イノベーションは汗をかかないと?

ブース。セカンドディスプレイがあるのはうれしい。

モデルは、クレディ・アグリコル(フランス)。2014年にイノベーションラボ「Le Village(ル・ヴィラージュ)」を開設し、金融・農業・健康・エネルギー等の領域で、スタートアップ企業と連携してきた。いまは約30のフランス国内の拠点を持っている。日本でもゆくゆくは地方と一緒に課題解決を行っていきたい。まずはその足固め。

アクセラレータープログラム。研修、アイデアソン、ピッチ、アクセラレータプログラム、ソリューション開発を一気通貫でやろうとしている。今回のプログラムには192件応募、1次36件、2次15件、ビジネスプランコンテストで7件を選考。現在、メンタリングの最中。10月25日に成果発表会を予定。

<ビジネスプランコンテスト優秀賞>
アクプランタ株式会社
 酢酸の力で植物を環境ストレスから守る資材「Skeepon(スキーポン)」の開発・製造・販売
株式会社アグロデザイン・スタジオ
 新農薬の研究開発(創農薬パイプライン型)
inaho株式会社
 農作物自動収穫ロボットのサブスクリプション(Robot as a Service)モデル展開
ACMSコンソーシアム
 マグロ養殖における革新的尾数計測システムの開発・販売
株式会社OsidOri
 共働き夫婦向け家計管理アプリの開発・提供
● 株式会社おてつたび
 都心の学生と人手不足に悩む農家との労働マッチングによる地域のファン(関係人口)創出
株式会社みらいスクール
 体験学習事業「Gifte!(ギフテ)」を通じた親子向け農業体験プログラムの提供

非常に興味深いビジネスだ。ただ、経済的にすぐに大きな結果がでるものばかりとも思えない。JAグループに流れる、相互扶助の気持ちが活かされていて、農家のファンづくりとか所得向上なども考慮しての受賞のよう。農協も信金ももとをたどれば信用組合なのだと再確認。JAはどちらかというと利用者側で、ビジネスの展開に応じて投資や融資は中央が行う。

会場内にいるスタッフが若いのに驚く。重厚なJAグループをつなぐためには、一般社団法人という形態もあり。フレキシブルな動きができる。

案件については、今のところ、中央から話を持ち掛けているようだが、ラボの結果次第では、現場の農協から相談があがるようになると、さらに面白い展開になる。農協の金融取引を前提としていないところもある意味新鮮。

単位農協は、県庁や市役所と並ぶ、地域の安定的な企業。最近は、地元愛から、地元に残って農協に入るという若者も多い。そういった現場からの声がこのラボとコラボレーションしてほしい。

1年後への目標はと伺うと、数年後には、結果が問われることは理解しながらも「まずはバッターボックスに入る数から」と。どういったものかわからない、まずはたくさんの橋渡しを行っていくところから。現場にとってはその通り。イノベーションは現場の汗と経営の我慢が必要。

メガバンクとの違いが鮮明なJAらしいラボだった。ぜひ何かコラボレーションしたいと感じた。